テレビでの宣伝でユニセフ(Unicef)が相続遺贈寄付を案内してい
ましたが、大変良い事と感心しましたので今回のテーマです。
近年、相続の相談があると、遺言書の作成をせざるを得ないケース
が多く出てきました。
法定相続人が存在しない場合、特定な人・組織に遺贈したい場合、
事業承継での自社株の事業承継者への相続・遺贈したい場合、
法定相続人でも排除したい相続の場合と色々です。
法務局の遺言書の作成を推進する目的・理由等としているのは
「遺言書の最終意思の実現」、「相続トラブルの発生防止」、「円滑
な相続手続の実現」、「残された人への最後の手続き」であるが、
具体的には
1. 夫婦間に子供がいない人
2. 相続人以外に財産を託したい人
3. 相続人同士の仲が良くない人
4. 離婚した相手との間に子供がおり、その後に再婚した人
5. 独身で子供がいない人
6. 内縁の妻(夫)がいる人
7. 不動産を所有している人
8. 相続人がいない人
9. 援助が必要な相続人がいない人
10. 相続させたくない「人」や「財産」がある人
11. 会社経営や個人事業を営んでいる人
12. 相続人に行方不明・生死不明の人がいる人
遺言は「いごん」、「ゆいごん」とどちらの呼び方でも、よろしいです。
英語でWILLですから、個人の意思が反映されるものです。
また、私の事務所の金庫で管理・保管している方は数名おります。
手軽な自署証書遺言書、確実な公正証書遺言書、法務局の自署証書
遺言書保管制度とありますが、自署証書遺言の場合には、紛失等の
管理と家庭裁判所の検認、公正証書遺言書は作成時事前の財産の
明示、作成時公証人役場での二人の立会人、費用の負担、法務局の
自署証書遺言書の保管制度では、保管はしてくれるが、遺言内容が
実行不可能だったり、曖昧な記述だったりすると揉め事を招くといった
メリット、デメリットがあります。
私が立会人・遺言執行者の公正証書遺言書を公証人役場で作成した
ケースでは、特定の団体へ全財産を遺贈するというものでした。法定
相続人が存在したケースなので、遺留分減殺請求には応じるという文
言があります。
法定相続人が存在しないケースも、近年はたびたびありますが、遺言
がなければ国庫に没収されますので、特定の団体、甥、姪等への遺贈
するようにとアドバイスしますが、自分は死なないと考えるのか遺言書
の作成・保管にはなかなか腰が重いものです。
死後に財産を社会貢献団体へ寄付するのが、「遺贈寄付」です。また、
公益法人を設立して財産を生前に贈与・相続開始時に遺贈するという
遺言書を作成する人もいます。
認知症では、自署証書遺言書は無効、認知症・耳の不自由な方では
公正証書遺言書は成立しません。
いま、仕事として行っている事例は遺言書がないため、両親はすでに
他界、配偶者、子供はいなく、相続順位として兄弟姉妹となったが、
兄弟姉妹の中にも他界している者もいて、代襲相続人として甥・姪ま
でさかのぼりましたが地方に在住しており、分割協議書の実印押印
が必要となり、大変な作業となりました。遺言書がないばかりの事
なのです。
遺言書がなく、分割協議書への自署押印することを条件に相続財産
を不当に請求する者も出る事は多々あります。
先妻との間に実子がいるが、先妻がすでに死亡し、実子が行方不明
なので相続の開始した時に分割協議書の自署押印が不可能となる
ことが、充分考えられるので公正証書遺言書の作成をして分割協
議書の作成がなくても対応しょうと公証人役場で保証人として立ち
会ったケースもありました。
勿論、生前事前には裁判所に失踪宣告の手続きをしましたが、手続き
が複雑で断念しました。
配偶者がいて、子供がいなく、両親もすでに死亡しているとなると、配偶
者と兄弟姉妹が法定相続人となりますが、兄弟姉妹が死亡していると、
甥姪が法定相続人として、甥姪は代襲相続人となりますが、遺留分減殺
請求はできませんので、配偶者に全財産を相続する旨の遺言書がない
と甥姪が法定相続人となるので、遺産分割協議書の自署押印が必要と
なる。
配偶者となり後妻業目的で入籍したため、配偶者への財産分与のない
遺言書作成の相談があり、遺言書作成したが、遺留分減殺請求となり
ました。
まだ遺言書が存在したので、配偶者から遺留分減殺請求があっても
二分の一から、四分の一に減額はされますが、後妻業の悪意に満ち
ていても弁護士は遺留分減殺請求をしてきます。
正式な夫婦で、夫以外の他人の体外受精で子供が生まれた場合、ま
た夫の精子で他人の女性が体外受精で子供が生まれた場合、同性
婚訴訟があるものの女性同士、男性同士の同性婚での体外受精で
子供が生まれた場合、LGBTは、各地方裁判所で判決が相違あるよ
うに、これからは民法・戸籍法の改正等の対応も大変になってきました。
提訴された事例として、自筆証書遺言のケースで家庭裁判所の検認
後に、筆跡の疑義での筆跡鑑定、私の遺言書の作成経過の調書作成
のために弁護士と打ち合わせをした事もあります。
相続土地国庫帰属制度 令和5年4月末スタートしていますが、いざ
実行となると条件が厳しく敷居が高くなっています。
2009年1月1日から、10年以上取引のない預金口座は、休眠口座と
して、税制改正により、2018年1月1日から「休眠預金等活用法」が
施行されて国に没収される事となります。
生前に生きた金を使わなければ、金を墓に持っていけません。
老後資金は2000万円必要と政府が発表しましたが、どうでしょうか?
遺言書は一番新しいものが有効となりますので、生活環境の変化、
心の変化もあるので遺言書の見直しをする人もおります。
因みに、私はまだ遺言書は残していません。
令和5年6月30日
小関勝紀