大手百貨店のそごう・西武の親会社セブン&アイ・ホールディンクスが
米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グルーブ」に売却する方
針に対して全館休業というストライキが行われたというニュースがあった。
これは、大手のM&Aの話題ですが、中小・零細企業の事業承継・継承
は、親族関係の紛争、税法の課税が絡むとさらに複雑となる。
ジャニーズ事務所の性加害問題での、インタビュー会見の中で、100%の
株を代表の藤島ジュリー景子女史が保有していると発表されていました
が、この自社株をどの様に誰にどのようにして移動するのか、税法上は
気になります。
税制・会社法等の何も知らないマスコミは、100%所有しているのは、おか
しいとか勝手な事を言っていますが、会社法上は株主が会社を支配する
のですが、利益が内部留保されている会社の自社株の移動の仕方には
売買、贈与、相続等あるが、税法の厚い重税の壁があり、簡単に移動で
きません。
その後週刊誌の記事ではあるが、市場性のない自社株を100%所有して
いたので、「事業承継税制」の制度を利用して、相続税860億円にも上る
納税を免れているとの内容でした。 
 「事業承継税制」の選択は、相続倒産をしないためにも会社を維持・継続
するためにはやむを得ない事態であると思われます。
ジャニーズ事務所の市場性のない株式に自社株評価されて相続税が発生
するが、金銭納付なので「事業承継税制」を選択し、課税延期せざるを得な
いのです。これには、代表取締役を5年間就任しなければならないという拘束
があります。
このような火中の栗を拾うような、損害賠償等会社の債務のある、存続も危
ぶまれる株を誰が、いくらで買うのか。
会社は100年の長寿企業・老舗を目指すというが、日本での100年企業として
継続できるのには奥義、秘伝を伝える一子相伝、一家相伝という場合に承継
できる会社が多いです。
老舗という会社は、ワンマン経営であり、親族、婿養子に優れたものがいた
事業承継者が存在していた場合かもしれません。
会社・企業は「変わる勇気」も必要ですが、「変わらない勇気」も必要なのです。
会社が長く続いていくには、「事業承継」、「事業継承」しなければなりませんが、
「承継」は理念・思想を抽象的なものを引き継ぐことであり、「継承」は経営権
などの具体的なものを引き継ぐ場合をいうとされているが、両方の条件が揃
わなければ、会社は存続できません。
大塚家具の事件は、継承は親族に出来たが、承継が出来なかった事と、会社
法の改正に伴うコンプライアンスを重視し過ぎた結果かもしれません。
近年の企業は社会的責任、企業の人権尊重、働き方改革、SDGs等で、拘束
が多く存続も大変な時代です。
今回は、昨今の中小企業が後継者不在による中小企業の廃業が社会問題と
なるくらい深刻な問題となっています。本来、廃業となると「赤字で債務超過」で、
倒産による廃業であったが、事業承継者の不存在、人材不足によることが、
増加しているのです。
日本は、経済の二重構造といわれ、未上場の中小企業が9割を占めています
が、世界に誇れる技術を有する中小企業は多くあります。
大企業では、出来ない地域に欠かせない細かいサービスが提供できる価値
のあるのが、中小企業なのです。
社内承継・継承か、M&Aによる外部への売却かとの事となるが、この仲介業
者として、専門会社、銀行、信託銀行、デューデリジェンス(Due Diligence・適正
評価手続き)会社が暗躍しています。
後を継ぐ、子供や親族がいる場合、親族内承継・継承となるが、親族内承継・
継承がいない場合は、親族外承継・継承か、M&Aによる売却となります。
いずれにしても、事業承継・継承、合併には自社株の相続、合併に伴う贈与、
譲渡には、すべて消費税、贈与税、相続税、法人税、所得税と発生します。
この各種課税の重税も、相続倒産等が発生するくらい足かせになっています。
税法の具体的事例を説明したいのですが、膨大な量になりますので今回は
割愛させていただきます。
一部の税法の事例として、遺言書がない場合に相続開始時の自社株の相続
で、会社承継者が相続すると、問題はないが、経営能力のない法定相続人が
取得した時、その後の自社株の買い取り、自社株の買取請求権の行使と無駄
な費用、労力を費やす事となります。
相続開始時に、支払配当、役員報酬等で社外流出していない場合には、自社
株は内部留保されて市場性のない換金できない自社株に相続税が課税され、
相続倒産となるケースもあります。実際の事例で自社株の相続で、年賦延納
で毎年相続税を1億の支払をするためには、毎年1億5000万円の役員報酬を
支給すると5000万円の所得税・住民税の支払いをしなければならないので、
差額1億円で相続税を支払いができ、会社から役員報酬として1億5000万円が
支払われる事は資金繰りを圧迫します。これが相続倒産の一例です。
相続税は物納、年賦延納が認められていますが、条件が厳しくハードルが高く、
なかなかむずかしいものがあります。
 個人事業は法人格を有していないので自社株はありませんが、個人事業な
ので営業権には、相続税の課税はありません。個人事業者の突然の死は相
続開始時に預金が凍結されて引き出しができなくなり、遺言書が存在、法定
相続人による分割協議がスムーズにいけば、良いが預金凍結により、営業
での引き出し不可能となって大変な事例もありました。個人事業で、法人格と
して法人成り時に、個人事業の親族の退職金は必要経費とならないとの不
利もあります。
「相続」は「争続」とならないように、老後破産しないように、相続倒産しないよ
うに頑張りましょう。

この度、9月20日の北海道市場セプテンバーセールにおいて、シニスターミニ
スターとジォパークルビーの子を競り落とし、私も馬主としては継承できそうです。

令和5年9月30日
小関勝紀