以前「後妻業」という映画がありましたが、後妻業とは、夫・妻の
財産目当てに籍を入れる事ですが、そのストーリー通りの事例が
仕事で経験した実例を文書にしました。
愛情もなく財産を取得する事を目的に入籍することを、アメリカ合
衆国では、PROーWIFEというと聞きましたが、ビジネスです。
一旦入籍すると、離婚すると、慰謝料請求をされるうえに、相続
開始(死亡)すると相続財産の分割となります。

第一の事件
離婚、復縁、相続を繰り返した事件
A(夫)とB(妻)は離婚して、AはBに慰謝料を支払った後に、AとBは
また復縁しましたが、その後Aの死亡により相続開始が開始した
ので、BはAの相続財産を相続.取得した。復縁後に夫Aの経営す
る会社の使い込みが発覚したので、会社からBは訴訟された事件
です。

第二の事件
入籍後に夫の実母とも、養子縁組をして、夫とは連れ子までも、養
子縁組をした事件
夫(C)は50歳のとき、結婚相談所に足を運んだ。そこの結婚相談所
の所長が、配偶者となった妻(D)である。夫Cは一人子であつた。
妻DはCの実母(F)と養子縁組を交わしていた。心配した実母Fは、
全財産を一人息子Cに相続させる内容の公正証書遺言書を残した。
実母Fの死亡により相続開始した。妻Dは、養子縁組をしていたので、
当然遺留分減殺請求をした。ここまでの事実は、私は夫Cの死亡に
より、相続税の申告依頼があって、後日判明することとなる。
妻Dは連れ子(G)を、夫Cとも養子縁組をしていた。このままでは、全
財産が妻Dと連れ子Gが相続することとなり、血族関係のない、後妻
業の妻Dと連れ子Gに法定相続されることとなるので、自分の血族・
親族に残したいと考えた夫Cは生前に、私のところに公正証書遺言
書の作成の立会人、遺言執行者の依頼があり、手伝う事となりました。
夫Cの死亡により相続開始したので、遺言執行者の私は、すみやか
に妻Dと連れ子Gに、公正証書遺言書の存在、遺言執行者に就職し
た旨の、内容証明を手配した。
夫Cが、病院に入院していたる時も、弁護士(K)と、遺言書の存在の
有無の確認、私署遺言書の作成するようにと、訪問したと病院の関
係者から報告をうけた。病院関係者からすると、私署遺言書を作成
できる病状ではないことから、心配して看病していた親戚の姪に報
告した。
私が立ち会った公正証書遺言書の内容は夫Cの甥っ子(N)、姪っ子
(M)に遺贈する内容であった。
死亡により、葬儀が執り行う事となり、一週間もしないうちに、また
四十九日も終わらないうちに、各金融機関、証券会社に妻Dと弁護
士Kは公正証書遺言書の存在している事を知らなかったので、解約
の手続きに伺っていた。
遺言執行者としては、速やかに公正証書遺言書の存在を知らせたら、
弁護士Kから私に悪意に満ちた公正証書遺言書と脅迫に近い内容で
書留郵便が郵送されてきた。
受贈者の甥っ子Nにまで、相続放棄をするように、脅迫するように弁
護士Kの事務所に呼び出した。後妻業の妻Dと連れ子のGは、当然の
こととして遺留分減殺請求をしてきました。
甥っ子Nと姪っ子Mは、対抗する関連当事者となるため、別々に弁護
士を選任しなければならない。
相続税の申告は、相続開始から10ケ月以内に申告義務があるので、
一旦公正証書遺言書の通り遺贈されたものとして申告・納付した。
偶然にも、実母Fの相続税の申告を依頼された知人の税理士であっ
たので、実母Fの弁護士(O)との連絡も出来、後妻業の妻Dとの遺留
分減殺請求、実母Fの公正証書遺言書のコピー、相続税の申告書も
入手出る事となりました。
香典を後妻業の妻Dが預かっているにも拘わらず、葬儀費用の未払
のため請求が、遺言執行者の私のところに来ることとなりました。
結局は、仏壇、墓守は姪っ子Mが行うこととなりました。
戸籍、養子縁組から、遺留分減殺請求で二分の一は後妻業の妻Dと
連れ子Gが相続される事となりました。
相続税の申告は、甥っ子Nと姪っ子Mは、期限内申告をしていますの
で「更正の請求」をして、一旦納付した相続税の還付をうけるための
請求を行う事となりました。
後妻業の妻Dと連れ子Gの相続税の申告は、自主的に行ったか、税
務署から指摘で申告したかまではわかりません。
遺留分減殺請求の依頼弁護士は偶然にも、私と同じ姓であったので、
金融機関、証券会社から、勘違いされました。

第三の事件
後妻を二回二人入籍した事件
S家の相続税の申告は、祖父の相続から行った。
その息子夫Sの相続である。長く連れ添った前妻が先に亡くなり、
後妻を迎える事となり、入籍した。
最初の後妻Kさんに、投資話で騙され金品をうしない、二番目の
後妻KKさんも入籍した。最初の後妻Kの友人が二番目の後妻KK
であったが、後妻K、KKとも外国籍であった。
Sはアルコール依存から、身体はかなり衰弱していたが、後妻KKは、
一緒に飲み歩く日々であった。私は、二番目の後妻KKが夫Sから
付きまとって離れない日々で内密に、公正証書遺言書にする機
会、時間もなかったので、後妻KKの隙をついて夫Sの実子の長男
と夫Sには私の事務所に来てもらい私署遺言書を作成しました。
私署遺言書の内容は実子二人に相続するというものであるが、
後日、後妻KKは遺留分減殺請求事件として訴訟をしないが、
現金2000万を代償分割することを要求してきた。
実子二人は、後妻KKとは姻族の取り消しをすることも条件として
和解した。
相続税の期限内申告後妻KKには相続税も負担しなければなら
ないが、配偶者の税額軽減の適用があり、無税となったが、実子
二人は2000万円分の全体の相続税が軽減されることとなりので、
相続開始10ケ月以内の期限内申告をした。
配偶者の税額軽減の適用は、期限内申告が要件である。
後日、実子二人から現金を贈与となると、贈与税の課税がある
事となるので代償分割としたのです。
実子二人は、私署遺言書であるが、改めて分割協議書作成で
印鑑証明書の添付で住所が判明することを嫌ったので、念書と
したが、税務署で代償分割と認められるか危惧しています。

日本国では、民法上、戸籍法上から、資産家と入籍するという
ことは、人生の往復切符を手にすることなのです。
後妻業の妻の二人の煩わしさより、一人の寂しさのほうがよい
のです。
炊事、洗濯、掃除ができれば配偶者となる伴侶は不要なのです。
妻を支えて、妻を頼らず。夫を支えて、夫を頼らず。
遺言書を残さなければ、大変な事な事例です。
遺言書は、認知症の状態では無効であるので、健全な体の時
期に残さなければなりません。
法定相続人に、行方不明者がいて、失踪宣告を待つこととなるが、
なかなか預金も解約できないという事態もあるので、遺言書作成
をしておくことをお勧めします。
実父、実母、配偶者、子供、兄弟と法定相続人がいない場合は、
財産は国に帰属することとなるので、この場合は、遺言書で、
自分の意志で公益社団法人等に、遺贈をするように、遺言書を
残すことをお勧めします。
昨年は過去最大で「相続人なき遺産」で国庫に帰属した遺産が
768億円あったとの事です
実父、実母、配偶者、子供はいなく、兄弟姉妹はいるが、兄弟
姉妹で死亡している者がいる場合には甥子、姪子となり、親戚
付き合いもしていない甥子、姪子から分割協議書に実印を押印
してもらうこととなるが、分割がすんなり進まないので、遺言書
作成で遺贈することもお勧めします。
キャリアウーマンほど、駄目な男と結婚することが多いようですが、
「ダメンズ」というそうです。「金の切れ目が縁の切れ目」です。
愛情が深ければ、亀裂が入ると憎しみに変わります。
愛情は金で買えないとかも言われるが、現実は厳しいものです。

令和5年12月31日
    小関勝紀